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8.14:

ATP収量

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ATP Yield

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細胞呼吸では 高分子エネルギーを段階的に生産することで 30〜32個のATPを生産します。解糖でATPを2つとNADHを2つ ピルビン酸酸化でNADHを2つ クエン酸回路でATPを2つ、NADHを6つ FADH2を2つ生産します。そして酸化的リン酸化で 約26〜28個のATPが生産されます。このATPの数が概算である理由は3つあります。まず1つ目の理由は、電子伝達体のNADHとFADH2は 膜間腔に水素イオンを送り込むことで 間接的にATPを生産することから 2.5個と1.5個の理論上端数のATPを それぞれ生産することです。2つ目は、解糖で生産したNADHは ミトコンドリア膜を通過することができず したがって、その高エネルギー電子を ミトコンドリア内の他の電子伝達体にパスする必要があります。そして、細胞の種類によって FADH2またはNADHが生産され それぞれ1.5または2.5個のATPを生産することになります。3つ目の理由は、呼吸で生産されたエネルギーは ピルビン酸がミトコンドリア膜を通過するのに使用され 約30〜32個のATPを生産することです。

8.14:

ATP収量

細胞呼吸では、グルコース1分子あたり30〜32個のATP分子が生成されます。このATPの大部分は酸化的リン酸化と電子伝達系(ETC)によるものですが、あらかじめ4個のATPが得られています(解糖系から2個、クエン酸回路から2個)。

ETCはミトコンドリアの内膜にあり、4つの主要なタンパク質複合体とATP合成酵素から構成されています。NADHとFADH2はこれらの複合体に電子を渡し、複合体はプロトンを膜間に送り込みます。このプロトンの分配により、膜の上に濃度勾配が生じます。この濃度勾配によって、プロトンがATP合成酵素を介してミトコンドリアマトリックスに戻ってきて、ATPが生成されます。

NADHが複合体Iに2個の入力電子を渡すごとに、複合体IとIIIがそれぞれ4個のプロトンを、複合体IVが2個のプロトンを、合計10個のプロトンを送り出します。複合体IIは、NADHによって開始される電子伝達系には関与しません。しかし、FADH2は複合体IIに2個の電子を渡すので、FADH21個あたり、複合体IIIを介して4個、複合体IVを介して2個、合計6個のプロトンが送り出されることになります。

1分子のATPを合成するのに4つのプロトンが必要です。NADH の場合、1分子に対して10個のプロトンが送り込まれるので、NADH1分子あたりで2.5(10/4)分子のATPが得られます。一方FADH2の場合、1個に対して6個のプロトンが送り込まれるので、FADH21分子あたり1.5(6/4)個のATPが得られます。

細胞呼吸では、グルコース1分子あたり最大10個のNADHと2個のFADH2が生成されます。1個のNADHで2.5個のATP、1個のFADH2で1.5個のATPが生成されるので、酸化的リン酸化によって25個のATP+3個のATPが生成されることになります。酸化的リン酸化の前に4つのATPが生成されるので、グルコース1分子あたり最大32分子のATPが得られます。

重要なことは、解糖は細胞質で行われ、ETCはミトコンドリアにあるということです(真核生物の場合)。ミトコンドリアの膜はNADHに対して透過性がないため、解糖で生成された2個のNADHの電子をミトコンドリア内にシャトルする必要があります。ミトコンドリア内では、電子はNAD+やFADに渡されます。電子伝達体によってATPの収量が異なることを考えると、細胞呼吸の総収量はグルコース1分子あたり30〜32ATPとなります。