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36.3:

体内時計と季節の反応

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Biological Clocks and Seasonal Responses

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多くの植物は、最適な 条件下で種子を 発芽させるため、季節の変化に 合わせて花を 咲かせます。植物はどのように時間や季節の 変化を感知しているのでしょうか?植物の中にある体内時計と 呼ばれるタイムキーパーが 光量の変化などの 環境の変化を感知しています。体内時計によって、植物は 概日リズムに従い、毎日 24時間の行動サイクルを 規則的に行うことができます。また、植物は体内時計を 使って季節の変化にも 応答しています。フィトクロムシステムは 植物が季節の 変化に応答する ためのメカニズムの 1つです。フィトクロムは感光性の 受容体です。フィトクロムが植物の中で 担っている様々な機能の 1つが季節の変化の感知です。フィトクロムは日照時間の長さ、または日長を計測して 季節の変化を感知しています。フィトクロムは 光刺激によって 2つの形状に 変形することで 日長に対する生体応答、光周性を制御しています。フィトクロムの形状には 不活性型のPrと 活性型のPfrがあります。フィトクロムは暗所で 細胞質の中に 不活性型のPrの 形状で生成されます。日中、Prは日光から 赤色光を吸収し、生物学的活性型のPfrに 素早く変形します。Pfrは細胞質分子を 活性化させるか、または細胞核の中に入って 遺伝子発現を制御します。暗所ではPfrが ゆっくりとPrに戻り、また、Pfrが酵素分解 されるため、夜の間は植物細胞内の Pfrの濃度が下がります。夜の時間が長くなる冬の 間は、夜明けまでに 細胞内のPfrが完全に 無くなる場合もあります。春になって夜の時間が 短くなると、夜明けの時点で残っている Pfrの量が多くなります。夜明けの時点における PrとPfrの割合によって、植物は昼夜のサイクルを 特定しています。Pfrの量は季節によって 変化するため、Pfrの濃度が高くなると 日照時間の長い季節に 花を咲かせる植物は 開花が活性化され、Pfrの濃度が低くなると 日照時間の短い季節に 開花する植物が活性化されます。フィトクロムシステムと 体内時計が 相互に作用し合うことで、植物は1年を通して 昼と夜の長さを 計測し、季節に合わせて 活動することが できるのです。

36.3:

体内時計と季節の反応

概日時計とは、植物が24時間周期で生理活動を行うための固有の分子機構です。光周性とは、暗期と明期の相対的な長さの変化に対する植物の生物学的反応の総称です。光が当たっている期間を光周期といいます。

植物の光周性の例として、季節的な開花があります。植物は、光周期の変化に概日時計を対応させることで、開花の合図を得ていると考えられています。フィトクロムは、光受容体としての役割を果たします。

フィトクロムは、開花などの光作用に関わる光受容体の一種です。フィトクロムは、開花などの光のプロセスに関与する光受容体の一群で、植物が数日間の暗期の長さを比較することを可能にしています。

短日植物(長夜植物)は、最低でも連続した長夜の後に開花します。短日(長夜)植物は、最低でも連続した長夜の後に開花し、一方、長日(短夜)植物は、最低でも連続した短夜の後に開花します。

フィトクロムには2つの変換可能な形態があります。PrとPfrです。Prは日中にPfrに変換されるため、Pfrは日中に多く存在します。Pfrは夜になるとPrに変換されるので、夜になるとPrが多くなります。したがって、植物は夜明けにPr/Pfr比を測定することで昼夜のサイクルの長さを知ることができます。冬の夜の長さは明け方のPfrの量を減らし、春の夜の短さは日の出のPfrの量を増やすことになります。

Suggested Reading

Tóth, Réka, Éva Kevei, Anthony Hall, Andrew J. Millar, Ferenc Nagy, and László Kozma-Bognár. "Circadian Clock-Regulated Expression of Phytochrome and Cryptochrome Genes in Arabidopsis." Plant Physiology 127, no. 4 (January 2001): 1607–16. [Source]

Yeom, Miji, Hyunmin Kim, Junhyun Lim, Ah-Young Shin, Sunghyun Hong, Jeong-Il Kim, and Hong Gil Nam. "How Do Phytochromes Transmit the Light Quality Information to the Circadian Clock in Arabidopsis?" Molecular Plant 7, no. 11 (2014): 1701–4. [Source]