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33.7:

収斂進化

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Biology
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Convergent Evolution

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コウモリと鳥の多くは どちらも羽根を羽ばたかせて 飛ぶ能力を持っています。これらの2つのグループは 共通の羽根を持つ祖先から 進化したように 見えるかもしれません。実際のところ、コウモリと鳥は 近縁の種ではなく、共通の祖先は 地上性の四本足の 動物にまで遡ります。このような 翼の進化は 収斂進化—同等の機能を有する 類似した特徴が個別に進化すること の一例です。鳥とコウモリの 形態を詳しく 調べてみると、飛ぶ能力は幾度も 進化してきたことが分かります。鳥類の手と手首の 骨は融合し、羽根が 浮力を産み出すための 面積を広げています。飛翔中、鳥は後肢を しまい込みます。対照的に、コウモリのI 指の骨は長く伸び、大きく広がった 皮膚によって 羽根が作られています。また、コウモリの後肢は 飛翔中に大切な 役割を担っています。そのほかにも、収斂進化の例は クジラと魚の間にも 見られます。クジラは子育てをし、肺呼吸をする 恒温動物です。魚は外温動物で、産卵し、エラを使って呼吸します。しかしながら、水中で生活するために 必要な条件を満たすため、クジラと魚には類似した 機能が進化しました。どちらのグループも 水中を動きやすい ヒレと流線型の体型を 持っています。クジラと魚の間に 近い共通の祖先は いませんが、それでも 収斂進化によって、類似した機能と特性を持っています。

33.7:

収斂進化

進化とは、長い時間をかけて生物の特徴を形成し、その生息環境に適応していくことです。時折、最近共通祖先を持たない生物同士が、選択圧によって、似ていますが関連性のない形質を獲得することがあります。これを収斂(収束)進化といいます。

収斂進化によって生じた構造は類似構造と呼ばれ、構造が異なっていても機能が類似しています。相同な特徴を持ちつつ、さらに構造も類似していることもあります。鳥やコウモリの翼は類似していますが、翼の中の前肢の骨は、遠い4肢の祖先から適応した相同なものです。一方、蝶の羽は、鳥やコウモリの羽と類似していますが、相同ではないです

鳥とコウモリと蝶の羽のように、収斂進化の結果、ある2つの生物が共通の形質を持っていることが明らかな場合もあれば、そうでない場合もあります。形質の類似が収斂進化の結果なのか、それとも相同で祖先を共有した結果なのかを判断するには、対象となる生物のDNA配列を調べる必要があります。

イルカや多くのコウモリはエコロケーション(反響定位)を使って移動したり狩りをしたりしますが、哺乳類の蝸牛に存在する高音域の聴力を付与とされるタンパク質をコードする遺伝子Prestinが、関連性の低いコウモリでは収斂的に進化し、イルカでは相同的に進化していることがDNA配列のデータから明らかになりました。

構造的に類似した毒素や毒物が異なる種に存在することは、ある形質が類似しているのか相同であるのかを識別するために、DNA配列データが重要な役割を果たすもう一つの例です。

Suggested Reading

Brodie III, Edmund D. "Convergent evolution: pick your poison carefully." Current biology 20, no. 4 (2010): R152-R154. [Source].

Liu, Yang, James A. Cotton, Bin Shen, Xiuqun Han, Stephen J. Rossiter, and Shuyi Zhang. "Convergent sequence evolution between echolocating bats and dolphins." Current Biology 20, no. 2 (2010): R53-R54. [Source].

Parker, Joe, Georgia Tsagkogeorga, James A. Cotton, Yuan Liu, Paolo Provero, Elia Stupka, and Stephen J. Rossiter. "Genome-wide signatures of convergent evolution in echolocating mammals." Nature 502, no. 7470 (2013): 228. [Source].