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6.13:

イオンチャネル

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Biology
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Ion Channels

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イオンチャネル共役受容体には リガンド依存性と電位依存性の2種類があります。それぞれ特定のイオンを通過させるため 選択的な孔を開くシグナルで区別されます。ひとつはリガンド依存性イオンチャネルで 神経伝達物質やイオンなどの 細胞外または細胞内のリガンドといった シグナル伝達分子が内在性タンパク質と結合すると ゲートが開き、形が変わります。ゲートが開くとイオンが膜を通過し 細胞応答を起こします。これに対し、電位依存性イオンチャネルは 特定の領域である電圧センサーが 細胞内と細胞外の電荷の差である 膜電位のレベルに対して反応し 受容体の形を変えることでゲートを開き 電荷が等しくなるようイオンが移動します。

6.13:

イオンチャネル

イオンチャネルは、細胞の膜電位を維持しています。ほとんどの細胞、特に興奮性の細胞では、正イオンよりも負イオンの数が多いため、細胞の内側は外側よりも負の電荷を帯びます。発火する神経細胞や収縮する筋肉細胞、触覚細胞のような興奮性細胞では、膜電位をマイナスからプラスに急速に変化させなければなりません。これを達成するため、細胞はリガンド依存性イオンチャネルと電位依存性イオンチャネルの2種類に頼っています。

リガンド依存性イオンチャネルは、イオンチャネル型受容体とも呼ばれ、チャネルを形成する膜貫通型タンパク質であると同時に、結合部位を持ちます。リガンドが表面に結合すると、イオンチャネルが開きます。よくあるイオンチャネル型受容体には、NMDA型、カイニン酸型、AMPA型グルタミン酸受容体やニコチン性アセチルコリン受容体があります。イオンチャネル型受容体の大部分は、グルタミン酸やアセチルコリンなどの神経伝達物質が細胞外に結合すると活性化されますが、一部の受容体は、イオンそのものにより細胞内で活性化されます。

グルタミン酸やアセチルコリンなどのリガンドが受容体に結合すると、ナトリウムイオン(Na+)やカルシウムイオン(Ca2+)が細胞内に流入します。正イオン(陽イオン)は、電気化学的な勾配に沿って、正に帯電している細胞外表面からより正の少ない(より負に帯電している)細胞内表面へと移動します。これにより、受容体近傍の膜電位が変化し、近傍の電位依存性イオンチャネルを活性化して、膜電位の変化を細胞全体に伝播させることができます。

もう一つのリガンド依存性イオンチャネル、GABAA受容体は、塩化物イオン(Cl)を細胞内に取り込みます。これにより、実際に膜電位が下がり、伝搬作用が制限され、興奮性細胞を抑制します。

電位依存性イオンチャネルは、隣接するリガンド依存性イオンチャネルが開くときなど、膜電位の変化に応答して開閉します。電位依存性チャネルには、複数の種類があり、イオンの大きさや電荷にによってフィルターをかけることで異なる選択的透過性を持ちます。電位依存性カルシウムチャネルは、筋肉の収縮や神経伝達物質の放出に重要です。カリウムチャネルは、活動電位が発生した後、細胞膜を再分極するために働きます。電位依存性陽イオンチャネルは、脱分極の際に開き、細胞から陽イオンを取り除きます。

イオンチャネルは、片頭痛に関与している可能性があります。硬膜は、脳を保護するおおいであり、いくつかの脳神経による神経支配を受けます。片頭痛はこれらの神経に起因すると考えられています。硬膜にあるリガンド性および電位依存性イオンチャネルは、膜電位を変化させることで痛みのシグナルを増強しているのかもしれません。