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34.9:

形態形成

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Biology
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Morphogenesis

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植物の形態形成とは、植物の形状や 構造の発達を指します。植物の形態形成は 数多くのプロセスと 環境要因が重なり 合いながら進行します。このプロセスには、成長、細胞分化、そして 細胞間コミュニケーションがあります。成長には、細胞分裂と 伸長が含まれます。細胞分裂では、分裂の対称性、速度、そして面—または方向—によって細胞の運命が 大きく変わります。例えば、植物の ガス交換を制御する 孔辺細胞は、非対称性分裂と 細胞分裂面の変化から 形成されます。しかしながら、植物の成長の大部分は 分化した細胞が 永久的に大きくなる 伸長によるものです。植物細胞は主に水を 取り込んで大きくなります。水の大部分は大きな 中央液胞に貯蔵されます。細胞分裂と細胞伸長が 植物の形状と 成長の方向性を決定します。しかしながら、これらの プロセスは植物細胞の 種類によって異なります。未熟な植物細胞が 特定の種類の細胞に 特殊化することを 細胞分化と呼びます。細胞分化は植物の形態 形成にとって重要な要素です。細胞分化は タンパク質コード遺伝子を 活性化または不活性化させる 遺伝子発現の変化に従って起きます。細胞間コミュニケーションは 細胞分化に関与する 遺伝子の発現を 制御していると 考えられています。例えば、シロイヌナズナの 根表皮は、有毛細胞と 無毛の表皮細胞を 作り出します。未熟な表皮細胞は、1個の皮層細胞に 接している場合は 無毛の細胞に分化し、2個の皮層細胞と 接している場合は 根毛細胞に発達します。このパターンは、識別的 遺伝子発現に関連しています。日光、温度、水や栄養素などの 環境的要因も 植物の形態形成に 大きな影響を 与えます。

34.9:

形態形成

植物の形態形成には、成長や細胞分化など、いくつかの過程が重なり合っています。前駆細胞が特定の種類の細胞に分化し、それらが組織や器官系に編成されて、機能的な植物が形成されるのです。

植物の成長と細胞分化は、複雑なホルモンの制御下にあります。植物ホルモンは、多くの場合、環境刺激に応じて遺伝子の発現を制御します。例えば、多くの植物は花を咲かせます。茎や根と違って、花は一生成長し続けるわけではありません。花を咲かせるためには、分裂して新しい組織を形成する細胞がある植物の領域、すなわち分裂組織のアイデンティティが変化することが必要です。

内部のシグナルに加えて、温度や日長などの環境のシグナルにより、子実体遺伝子が発現し、茎頂部の子実体が花序部の子実体へと変化します。

花序分裂組織は、花芽分裂組織を作り出す。花芽分裂組織の細胞は、その半径方向の位置に応じて、萼、花弁、雄しべ、雌しべのいずれかの花器官に分化しますが、これは器官識別遺伝子の発現を決定します。

ABC仮説とは、花の4つの器官は、ABCという3つのクラスの器官同一性遺伝子の指示のもとに形成されるというものです。Aの遺伝子だけが発現すると、がく片が形成されます。C遺伝子だけを発現させると、雌しべができます。BC遺伝子を共発現させると雄しべができ、AB遺伝子を共発現させると花弁ができます。

以上のことから、開花をはじめとする植物の形態形成には、複数の発生過程が重なり合っていることがわかりました。

Suggested Reading

Huijser, P., and M. Schmid. 2011. “The Control of Developmental Phase Transitions in Plants.” Development 138 (19): 4117–29. [Source]

Irish, Vivian. 2017. “The ABC Model of Floral Development.” Current Biology 27 (17). [Source]