Summary
ここでは、残留卵残骸の野外収集に基づいて、蝶の個体群の非侵襲的遺伝子サンプリングのための簡単なプロトコルを提示します。種の同一性を確認し、遺伝的変異を定量化するために使用できます。このプロトコルは、コミュニティサイエンスの関与のために、より広いグループに簡単に適応させることができます。
Abstract
世界的な昆虫の減少は加速し続けています。効果的な遺伝子サンプリングは、多くの分類群の理解を進め、既存の知識のギャップに対処するために非常に重要です。このプロトコルは、集団の遺伝的構造またはDNAバーコード分析のために希少な蝶を非破壊的にサンプリングするための実証された方法を表しています。孵化した蝶卵子の絨毛膜を使用して、種の同一性を確認し、遺伝的変異を定量化するための遺伝子配列決定を成功させるのに十分な量と品質のDNAを生成します。これは、他の組織サンプリング技術が実用的でないか利用できない場合に特に有用であり得る。鱗翅目用に開発されましたが、それでも他の昆虫種での使用に簡単に適応できます。これは、コミュニティ科学者、保全実践者、学生など、さまざまな経験とスキルレベルの個人による幅広い実装を最大化し、広い地理的領域で使用して幅広い集団サンプリングを容易にするための目標として、使いやすさを考慮して特別に設計されました。生成されたデータは、分類学とリストの決定、保全と管理の行動に情報を提供し、基本的な生態学的研究を強化するのに役立ちます。
Introduction
希少、減少、および/またはリストされた昆虫分類群の効果的な集団遺伝子サンプリングは、保全および管理行動に情報を提供するためにしばしば重要です。致死的または有害な組織サンプリング法は、多くの遺伝子分析に日常的に利用されています。ただし、これらの方法は、脆弱な現存する集団に害を及ぼしたり、行動やフィットネスに悪影響を及ぼしたりする可能性があるため、望ましくないか、許可されていません。昆虫の遺伝子研究には、脚全体、触角または翼の切り抜き、幼虫の滲出液、または防御分泌物やフラスなどの他の製品からの血リンパなどの組織を含むさまざまな非致死的または非侵襲的なサンプリング技術が適しています1,2,3,4,5,6,7,8,9 .これらのさまざまな組織サンプリング技術の全体的な実現可能性と適用可能性は、焦点生物の生物学、生態学、行動、サイズ、希少性、状況、および材料を収集する個人によって大きく異なります。たとえば、脚全体または付属肢の切り抜きは、通常は経験豊富な人員による、適切なライフステージの複数の個人を一時的に捕獲し、注意深く取り扱う必要があります。同様に、幼虫の滲出液やフラスなどの組織源は、生物が飼育下にあるか、一時的に適切な期間保持されている場合にのみ実用的である可能性があります。
潜在的な分類学的分化や遺伝的構造に関するものなど、集団レベルで尋ねられる研究質問の場合、より広い時間的または地理的スケール(すなわち、地域または大陸)でのサンプリングがしばしば必要とされる。その結果、特定の非侵襲的組織源は、完全に非実用的であるか、少なくとも大量に収集するのに非効率的である可能性があります。このような規模でのサンプル収集は、さらに、個々の研究者またはさらに小規模なフィールドチームが実施するには、ロジスティック的または財政的に非現実的または法外なものになる可能性があります。コミュニティ科学者の直接的な関与は、これらの課題の多くに対処し、ビッグデータ主導の収集を加速するために研究コミュニティによってますます採用されていますが、非破壊的、非侵襲的、またはeDNAサンプリングを含む研究では採用が制限されています10、11、12。
これらの潜在的な制限のいくつかを克服するために、孵化した蝶卵子からの絨毛膜が、種の同一性を確認し、遺伝的変異を定量化するための遺伝子配列決定を成功させるのに十分な量と品質のDNAを生成できることを示しました。その後、この手法を使用してさまざまな収集プロトコルをテストしました13。このパイロット作業は、方法論のさらなる改良の基礎となりました。このホワイトペーパーでは、コミュニティの科学者やその他の非専門家向けに展開された、簡単で包括的な改訂フィールド収集プロトコルについて詳しく説明します。このプロトコルは、フロストエルフィンバタフライ(Callophrys irus)の範囲全体の個体群構造分析の一部であり、将来の保護活動と、米国絶滅危惧種法に基づく上場の可能性に関する連邦政府の決定に情報を提供するのに役立ちます。いくつかの非侵襲的方法よりも潜在的に労働集約的ですが、必要な生物接触の欠如と使いやすさにより、一般的な昆虫と保全上の懸念のある昆虫の両方を対象とした他の集団遺伝研究プログラムに適用できる潜在的に実行可能なモデルになります最近孵化したニンフや幼虫から卵の破片を残します。ここで紹介するプロトコル言語は、Lycaenidae科の蝶のために特別に開発されたものであり、ここではコミュニティ科学者または昆虫学の経験が限られている他の個人(機関の生物学者、インターンなど)として定義されている非専門家による使用のために開発されました。
Protocol
1.コミュニティ科学者への物資の配布
- 完全な 資料表を参照して、必要なコレクション関連の備品の完全なリストを注意深く確認して収集します。
- サンプル収集が複数の場所および/または複数の個人/チームによって行われる場合は、必要なすべての消耗品を収集して、個別の展開可能なユニットに整理します(図1 および 図2)。
- 物資(展開可能なユニット)をコミュニティの科学者またはフィールド収集を担当するその他の人員に輸送します。
- 担当者が現地にいない場合は、消耗品(各展開可能ユニット)を、完全な出荷ラベルと出荷が入った個別の段ボール輸送箱に慎重に梱包します。
注:この段階では、迅速な発送は必要ありません。
2.コミュニティサイエンティストコレクションの準備
- 収集タックルボックスを含む収集用品を受け取ったら、ラミネート供給リストを注意深く確認し、完全な在庫を作成します。不足している消耗品がある場合は、プロジェクトリーダーに通知します。
- 1.5 mLマイクロ遠心チューブに180 μLの溶解バッファーをプレフィルし、各マイクロ遠心チューブに事前に印刷された一意のIDラベルを貼付し、すべてのチューブを64ウェルマイクロ遠心チューブ保管ボックスに入れます。装填後は蓋をしっかりと固定してください。
注意: ラベルプリンターが利用できない場合は、エタノールプルーフマーカーを使用して、各バイアルの側面と蓋に一意のID番号を貼り付けます。 - すべてのデジタル機器(スマートフォンやカメラなど)が完全に充電され、予備のバッテリーが梱包されていることを確認してください。
- 収集されたサンプルのフィールド保管とローカル輸送のために、小さなクーラーを部分的に氷で満たします。
- 安全な輸送と統合保管のために、すべての収集用品を収集タックルボックスまたは同様の頑丈で耐候性のある容器に詰めます。
- 現場に向かう前に、非破壊遺伝子サンプル収集プロトコルを詳細に確認してください。
注意: 現場での追加ガイダンスについては、ラミネートおよび凝縮された図解されたプロトコルを使用してください(補足図S1および補足図S2)。
3.現場でのサンプル収集
- フィールドサイトに到着したら、鉛筆または全天候型ペンを使用して、時刻、日付、全体的なプロパティ名(アパラチコーラ国有林など)、特定のフィールドサイトの場所の名前または説明、およびGPSの読み取り値(利用可能な場合)、および出席者全員のフルネームと役割を耐候性フィールドノートに記録します。
- ターゲット蝶に固有の幼虫宿主植物種が存在する適切な生息地を見つけます。
注意: 敏感な生息地、植物の個体数、および野生生物への影響を回避または最小限に抑えるように注意してください。さらに、サイトおよびサンプル収集イベントにアクセスする前に、すべての適切な土地所有者の許可および/または許可を確保してください。 - スマートフォンまたはカメラを使用して、すべてのフィールドサイト、サンプル収集場所、ホストプラント、およびプロジェクトに関連する可能性のあるその他の情報の詳細な写真を撮ります。GPS座標を記録するスマートフォンやその他のカメラを使用してください。
注:写真のジオタグは、すべてのスマートフォンで有効にする必要があります。 - 孵化した卵について、産卵(産卵)成体の雌蝶によって選択されることがわかっている葉、花芽、花、発育中の果実など、宿主植物の幼虫部位を網羅的に探索する。ほとんどのLycaenidaeでは、新生児の幼虫が出現したドーナツに似た中央に明確な穴がある白い孵化した卵を探します(図3)。色がやや暗く、多くの場合緑色または青みがかっており、中央に穴がなく完全に無傷の孵化していない卵を探します(図4)。ハンドレンズまたはその他の拡大装置を使用して、各卵を注意深く検査します。
- 孵化した卵が見つかったら、両手にニトリル手袋をはめます。
- 清潔で無菌の先のとがった鉗子を使用して、孵化した卵を宿主植物からつかんでそっと引き抜き、64ウェル保存ボックスから取り出した溶解バッファーを事前に充填したラベル付きマイクロ遠心チューブに直接入れます。
注意: 一部のホスト植物のキャリーオーバー材料(直径15 mm未満)は許容され、収集中は正常です。 - 宿主植物のパッチ/サイトごとに少なくとも合計5つのサンプルを収集し(それぞれに1〜20個の孵化した卵が含まれています)、可能であればその場所で合計>50個の卵を目指します。
注:これは、すべてのサンプルプラント/パッチで少なくとも一部の組織が確実に収集され、DNAを検出する可能性を高めるのに役立ちます(個人観察)。 - 各卵の収集後、鉗子の先端を95%エタノールのバイアルに浸すか、スクイーズボトルから95%エタノールを浸すか、アルコールワイプを使用して慎重に清掃します。
注意: これは、サンプリングイベント間の組織のキャリーオーバーを最小限に抑えるのに役立ちます。 - 可能であれば、同じ宿主パッチ内の複数の植物からいくつかの孵化した卵(1〜20個の卵)を単一のマイクロ遠心チューブに集め、蓋をしっかりと閉じます。より大きな草本または木質の宿主種を利用する蝶種の場合、宿主パッチが限られている場合は、同じ植物の異なる場所から複数の卵を収集します。
注:葉が互いに接触している場合、植物は同じ宿主パッチにあります。植物またはパッチの間に顕著な物理的分離がある場合、これは別のサンプルと見なされるべきです。幼虫の滲出液や片脚などの別の組織タイプを収集する場合は、片脚、脚の断片、または幼虫の滲出液のみを微量遠心チューブに入れます(1人あたり1サンプル)。 - 採取したすべての材料が、各1.5 mLマイクロ遠心チューブ内の溶解バッファーに完全に沈んでいることを確認してください。問題のチューブの底を硬い表面で軽くたたいて、必要に応じてサンプルを再沈めます。
- 鉗子を拭いて、清潔な使い捨てラボワイプで乾かします。
注意: サンプル間の相互汚染を避けるために、慎重な鉗子洗浄が不可欠です。 - 新しいサンプルを収集するときは、使用済みのニトリル手袋を廃棄し、きれいなペアと交換してください。
- 耐候性フィールドノートでは、鉛筆または全天候型ペンを使用して、マイクロ遠心チューブから割り当てられた一意のIDラベルを、サンプルの種類(卵、幼虫の滲出液、脚など)、孵化した卵のおおよその数、およびコレクター名、日付、場所、宿主植物種、および追加のメモなどのコレクション情報を記録します(図2)。
- 卵の破片サンプルを入れた閉じたマイクロ遠心チューブを64ウェルのマイクロ遠心機保管ボックスに戻します。
- 現場にいる間、64ウェルの微量遠心分離機保管ボックスを氷の入ったクーラーボックスに保管してください。
- 現場にいる間は、他のすべての収集用品を収集タックルボックスに維持して、サイト間の安全で統合された保管と輸送を行います。
4. フィールド収集が完了したとき
- サンプルを含むすべてのマイクロ遠心チューブが、輸送用の氷を備えたクーラー内の64ウェルマイクロ遠心保管ボックスに入っていることを確認します。
- すべてのフィールドコレクション用品をコレクションタックルボックスに戻します。
- すべてのサンプルをオフィスまたはラボに輸送し、各マイクロ遠心チューブを注意深く再確認して、すべてのサンプル材料が溶解バッファーに完全に沈んでいることを確認します。
- サンプルの入った64ウェルマイクロ遠心分離機保管ボックスは、出荷または処理されるまで冷凍庫に入れます。
注意: -18°Cの平均的な業務用冷凍庫は、短期保管には許容されます。 - 収集ツールボックス内のすべての消耗品を慎重に評価し、必要に応じて交換します。
注: これは、複数のフィールド コレクション イベントがスケジュールされている場合に特に重要です。 - 次のフィールド収集イベントまで、収集タックルボックスを安全な場所に保管します。
- すべてのデジタルイメージをダウンロードし、すべてがサーバーまたはクラウドベースのストレージシステムに安全にバックアップされていることを確認します。
- すべての情報をプロジェクトのスプレッドシートまたはデータベースに入力できるようになるまで、コレクションデータを含む元の耐候性、フィールドノートブックページ、またはフィールドデータシートをスキャンするか撮影します。
5. サンプルとデータの提出
- サンプルの入った64ウェル微量遠心機保管ボックスをすべて冷凍庫から取り出します。
- 64ウェルマイクロ遠心分離機保管ボックスをサンプルとフィールドノートブックまたはフィールドデータシートとともに標準の配送ボックスに慎重に梱包し、提供された配送ラベルを元の送信者のアカウント番号に添付し、運送業者が保証する翌日配達でプロジェクトディレクターに送付します。
- パッケージ追跡番号とスキャンしたノートブックページまたはフィールドデータシートのコピーをプロジェクトディレクターに電子メールで送信します。
6.DNA抽出
- 64ウェルの微量遠心機保管ボックスを受け取ったら、DNA抽出の準備ができるまでサンプル中のDNAを保存するために-20°Cで保管します。
- 実験室では、融解後の溶解バッファーに保存された昆虫組織を-20°Cから粉砕してDNAを抽出する。 20 μLのプロテイナーゼKを加え、サンプルを56°Cの加熱インキュベーターに24時間以内一晩浸します。
- 特定のメーカーの推奨に従って、適切な洗浄および洗浄バッファーを追加します13。
- バッファーに懸濁したサンプルを、2 mL 収集バイアルに取り付けたスピンカラムに移します。
- 遠心分離機を使用して6,021 × g で60秒間スピンダウンします。適切な洗浄バッファーを追加し、適切にスピンダウンします。
- 溶出バッファー(30 μL)を使用して結合したDNAを放出し、サンプルを新しい1.5 mLマイクロ遠心チューブにスピンダウンします。-20°Cで保存してください。
注:DNA濃度が0.010 ng / mLを超える場合は、シーケンスに進みます。組織タイプ別のDNA濃度については 図5 を参照してください。
7. DNA配列のデータ解析
- 結果のシーケンスで低品質のベースコールをトリミングまたは編集します。
- 種の識別を確認するための公開データベースに対するクエリシーケンス。
- 個人間の違いを比較するために、シーケンスを互いに整列させます。
Representative Results
最大563のサンプルを収集するための資料が、北米東部の種の範囲にわたる9つの州の8人の保全およびコミュニティの科学者に送られました。資料は、現地のピーク飛行時間の前に2021年に3か月以上にわたって発送されました。現在までに、収集された合計160個の C. irus 組織サンプルを受け取りました(表1)。ゲノムDNAは、Storerらによって詳述されたこのサンプルタイプのプロトコルに従って抽出されました14。これらの160サンプルのうち、平均濃度1.67 ng/μL(SE ± 2.98)で88サンプルからDNAを抽出することに成功し、最も高いDNA収量は26.8 ng/μLでした。濃度は、2 μLの抽出物を含む製造元の指示に従って高感度アッセイキットを使用して定量しました。
受け取ったサンプルの総数は、収集のために展開された資料の総数よりも大幅に少ないですが、これは主に、一次収集者またはチームリーダーに過剰な収集資料を提供して、必要に応じて複数の収集サイトおよび/またはコミュニティ科学者を含めるための最大限の柔軟性。さらに、 C. iris は、現存する範囲全体で限られた、しばしば比較的小さな個体群に代表されるまれで減少している分類群です。この制約にもかかわらず、受け取った組織サンプルの総数は、特に個々の成虫のより伝統的なサンプリングで予想されるものと比較して、かなりのものです。
図1:コミュニティの科学者またはフィールド収集を担当する他の人員への出荷を待っている、必要なすべての物資の個々の展開可能なユニット。 この図の拡大版を表示するには、ここをクリックしてください。
図2:すべての消耗品、透明なプラスチック収集タックルボックス、およびコミュニティ科学者またはフィールド収集を担当する他の担当者への出荷を待っている完成したエクスプレスキャリアラベルを含む個々の展開可能なユニット。 この図の拡大版を表示するには、ここをクリックしてください。
図3:野生のルピナス(Lupinus perennis)の孵化したつや消しエルフィン蝶(Callophrys irus)の卵の写真で、新生児の幼虫が出現した中央に明確な穴が開いていることを示しています。 孵化した卵の全体的な色は白であることに注意してください。この図の拡大版を表示するには、ここをクリックしてください。
図4:野生のルピナス(Lupinus perennis)の孵化していない孵化したつや消しエルフィン蝶(Callophrys irus)の卵の写真。 孵化していない卵には目立った中央の穴がなく、全体的な色は青緑色であることに注意してください。この図の拡大版を表示するには、ここをクリックしてください。
図5:組織タイプ別のDNA濃度。 ボックスの正中線は中央値を表し、各ボックスはIQRを拡張し、ボックスひげは1.5 × IQRで、外側のポイントは外れ値です。単一の卵ケースを含むサンプルは1つの卵ケースのみを有し、複数の卵ケースを含むサンプルは少なくとも2つのケースを有し、症例数はサンプルあたり2〜20(平均= 5.3)の範囲であった。略語:IQR =四分位範囲。 この図の拡大版を表示するには、ここをクリックしてください。
状態 | エッグケース | 卵ケース | フラス | 足 | 脱皮 | 総計 |
アーカンソー州 | 2 | 2 | ||||
フロリダ | 3 | 10 | 7 | 22 | 42 | |
ミシガン | ||||||
ニューハンプシャー | 24 | 6 | 15 | 45 | ||
ニューヨーク州 | 30 | 30 | ||||
オハイオ | ||||||
ウィスコンシン州 | 9 | 5 | 5 | 19 | ||
オクラホマ州 | 16 | 6 | 22 | |||
総計 | 36 | 21 | 16 | 65 | 22 | 160 |
表1:州別に収集された組織材料の数と種類。
補足図S1:現場で使用するための両面、ラミネート、凝縮、および図解されたプロトコルのフロントページ。このファイルをダウンロードするには、ここをクリックしてください。
補足図S2.現場で使用するための両面、ラミネート、凝縮、図解されたプロトコルの裏ページ。このファイルをダウンロードするには、ここをクリックしてください。
Discussion
このプロトコルは、集団の遺伝的構造またはDNAバーコード分析のために希少な蝶を非破壊的にサンプリングするためのフィールドメソッドを説明しています。このプロトコルの全体的な利点は、コミュニティ科学者、保全実践者、学生など、さまざまな経験とスキルレベルの個人による幅広い実装を最大化するのに役立つように特別に設計されています。これらには、比較的低い全体的なコスト、入手が容易な消耗品と機器、過度に複雑な手順を多数必要としない簡単で親しみやすい方法、および広い地理的領域への容易な展開が含まれます。さらに、残留有機物質を標的とするため、一時的に捕獲または操作する必要がなくなり、その過程で、遺伝子サンプルを取得するために生物に害を及ぼす可能性があります。さらに、サンプル収集に利用できる潜在的な期間を、従来の生物季節学や特定のライフステージの寿命を超えて延長し、柔軟性と全体的な収集機会を強化して、サンプル数を最大化します。
この取り組みの焦点となる分類群は、広範囲に及ぶが減少している生息地の専門家であるフロストエルフィンバタフライでしたが、このプロトコルは、保全上の懸念がある昆虫を含む他の多くの昆虫により広く適用できます。同様に、このプロトコルは遺伝物質の供給源として孵化した卵の収集を対象としていますが、他の潜在的により伝統的なサンプル(脚、翼の断片、触角クリップなど)または生物全体にも簡単に適応できます。ただし、この側面は、プロトコルの潜在的な制限でもあります。ステップの大部分は比較的単純かつ迅速に実行できるように設計されていますが、幼虫の宿主植物のパッチで、通常直径<1.0 mmの孵化卵を包括的に検索するには、時間と労力がかかります。それにもかかわらず、このような広範なサンプリング活動は、コミュニティ科学者などの参加者のより大きなネットワークにとって特に理想的です。
他のフィールドベースのプロジェクトと同様に、慎重な準備が不可欠です。これには、アイテムが不足していないこと、必要な準備作業が完了していること、およびそれらが適切に整理され、安全に梱包され、フィールド展開の準備ができていることを確認するために必要な消耗品の完全なインベントリを実行することが含まれます。さらに、すべての現場担当者、特に組織収集を実施する担当者は、収集イベントの前に収集プロトコルを詳細に確認し、プロジェクトを監督する個人への質問に対処する必要があります。現場に入ると、プロトコルのサンプル収集部分では細部に細心の注意を払う必要があります。これには、卵子を見つけて注意深く検査し、孵化して収集に適していることを確認すること、鉗子を徹底的に洗浄すること、サンプリングイベント間の組織のキャリーオーバーを減らすための手袋の交換、組織サンプルが各1.5 mLマイクロ遠心チューブ内の溶解バッファーに完全に沈んでいることを確認することが含まれます。最後に、マイクロ遠心チューブから割り当てられた一意のIDラベルを、採取した特定のサンプルおよび他のすべての関連する収集情報にリンクすることを含め、正確で詳細なデータを記録することが不可欠です。このステップは科学研究では日常的ですが、多くの場合、コミュニティ科学の聴衆のために徹底的に明確にし、強化する必要があります。
ここでは、小規模、希少種、絶滅危惧種からの非致死性サンプル収集のためのコミュニティ科学者の潜在的な活用を示します。ただし、結果の遺伝子データを分析する際に留意すべきいくつかの潜在的な制限があります。たとえば、単一のパッチからサンプルをプールすると、検出に十分なDNAを回収できる可能性が高くなりますが、ヘテロ接合性が導入される可能性もあります。さらに、プロトコルは孵化した卵子から絨毛膜を収集することを含むため、親DNAを表す雌の蝶のみを集団内でサンプリングできます。それにもかかわらず、 C. irusについては以前の集団レベルの遺伝子データが利用できなかったため、得られた洞察は種の保全と管理にのみ利益をもたらすことができます。たとえば、集団構造を適切に評価するには、徹底的で詳細な研究デザインと慎重なマーカー選択が必要ですが、ここで概説されているサンプリングプロトコルとシトクロムcオキシダーゼサブユニット1(CO1)DNAバーコーディングを使用して、希少または絶滅危惧種の分類群の発生を検出できます。ここで説明する非致死的サンプリングからのDNAシーケンシングの有用性と応用に関する追加の議論は、Storerらによって詳述されています。アル.14.
プロトコルは、遺伝子分析のためにサンプルを収集するという主な目的を超えて、参加者がすべてのフィールドサイト、収集場所、存在する幼虫の宿主植物、および関連する可能性のある周囲の生息地の他の要素の詳細なデジタル写真を撮ることも強調しています。このような文書は、植物の生物季節学、宿主資源密度、管理履歴(最近の規定火災など)などの既存のサイト条件を説明するのに役立つ一般的な生息地評価を提供するのに役立ちます。このような情報は、より詳細な環境比較を可能にするために、より長い時間期間にわたってフィールドサンプルを採取するプロジェクトに特に役立ちます。
最後に、世界的な昆虫の減少が加速し続けるにつれて、種の評価と監視の取り組みの拡大が非常に重要です15,16。コミュニティの科学者、学生(米国魚類野生生物局のインターンやフェローなど)、および保全実践者からのより広範な参加型エンゲージメントの使用は、DNAサンプルを含む多くのタイプの広範なデータ収集のためのますます実行可能なオプションを提供します。したがって、このプロトコルから生成されたデータには多くの用途があります。これらには、保全活動(計画、回復、管理など)への情報提供、リストの決定または種の状態評価、生態学的、個体群、分類学的研究が含まれます。
Disclosures
著者は開示する利益相反を持っていません。
Acknowledgments
著者らは、デビッド・カスレル、アマンダ・ディロン、スティーブ・フラー、ニール・ギフォード、ハイディ・ホルマン、ディーン・ジュー、サリー・ジュー、ダニエル・ケネディ、ジュヌビエーブ・コザック、レベッカ・ロンゲネッカー、モーリーン・マクラング、マット・モラン、ロビン・ナイバー、ブレンダ・スミス、ハンター・トローブリッジ、ジェサップ・ワイシェルトに感謝の意を表しますロジスティクス、調整、許可、および/またはサンプル収集を含むプロジェクトのさまざまな側面。この研究は、野生生物管理研究所が管理する米国魚類野生生物局(連邦賞識別番号F20AC00356)からの助成金(助成金SA 2021-01)を通じて資金提供されました。
Materials
Name | Company | Catalog Number | Comments |
14 quart Igloo Playmate Cooler | Amazon | NA | portable cooler Amount per deployable unit: 1 cooler |
250 DNeasy Mini Spin Columns, Proteinase K, Buffers, Collection Tubes (2 mL) | Qiagen | 69506 | Qiagen DNeasy Blood & Tissue Kit Amount per deployable unit: NA |
Andwin Scientific Supplier Diversity Partner LAB MARKERS BLACK | FisherSci | NC9280166 | ethanol proof lab marker Amount per deployable unit: 2 markers |
Cardboard shipping box | shipping box Amount per deployable unit: as needed |
||
Eisco Polyethylene Wash Bottles, LDPE | FisherSci | S14091 | lab grade spray or squirt bottle (for ethanol or alcohol) Amount per deployable unit: 1 bottle |
FedEx U.S. express airbill | FedEx | NA | shipping return label Amount per deployable unit: 2 labels |
Fisherbrand Premium Microcentrifuge Tubes: 1.5 mL | FisherSci | NC9386261 | sterile 1.5 mL microcentrifuge tubes Amount per deployable unit: 128 tubes |
Forceps, #4a, very fine yet extra strong tips (33 mm), 4-3/8" (111 mm) long | Bioquip | 4523 | straight tip forceps Amount per deployable unit: 2 straight forceps |
Forceps, #7, curved tips (13 mm), very fine points, 4-1/2" (114 mm) long | Bioquip | 4527 | curved tip forceps Amount per deployable unit: 2 curved forceps |
Kimberly-Clark Professional Kimtech Science Kimwipes Delicate Task Wipers, 1-Ply | FisherSci | 06-666A | kimwipes (or other sterile wipe) Amount per deployable unit: 1 box |
Laminated Illustrated field collection protocol | NA | NA | abbreviated protocol Amount per deployable unit: 1 protocol |
Laminated list of materials | NA | NA | supply list Amount per deployable unit: 1 list |
Lily Sugar 'N Cream The Original Solid Yarn, 2.5 oz, Medium 4 Gauge, 100% Cotton - Hot Pink - Machine Wash & Dry | Amazon | NA | pink yarn (to secure to forceps for visibility) Amount per deployable unit: 2 yards |
Loupe by Bausch & Lomb, 10x Coddington Magnifier | Amazon | NA | hand lens Amount per deployable unit: 2 hand lenses |
MyGift Clear Plastic 2-Tier Trays Craft Supply Storage Box/First Aid Carrying Case w/Top Handle & Latch Lock | Amazon | NA | supply storage box Amount per deployable unit: 1 box |
Nitrile, Disposable Gloves, L, Powder-Free, 2.8 mil Palm Thickness | Grainger | 60NU14 | nitrile lab gloves (large) Amount per deployable unit: 1 box |
Nitrile, Disposable Gloves, M, Powder-Free, 2.8 mil Palm Thickness | Grainger | 60NU13 | nitrile lab gloves (medium) Amount per deployable unit: 1 box |
Qiagen, Inc. BUFFER ATL (200 ML) | Qiagen | 19076 | Qiagen ATL lysis buffer Amount per deployable unit: 180 µl/tube; 128 tubes |
Rite In The Rain Weatherproof Side Spiral Notebook, Yellow Cover, Universal Page Pattern (No. 373-MX), 11 x 8.75 x 0.5 | Amazon | NA | weatherproof field notebook Amount per deployable unit: 1 notebook |
Showgard Professional Stamp Tongs 6" 904 Round Tip Tweezers | Amazon | NA | 6" spade tip forceps Amount per deployable unit: 2 long spade forceps |
Texwipe PolySat Pre-Wetted Wipers | FisherSci | 18-366-231 | alcohol wipes Amount per deployable unit: 100 wipes |
Thermo Scientific CryoBoxes | FisherSci | 12-565-227 | 64 well microcentrifuge tubes collection/storage boxes Amount per deployable unit: 2 boxes |
packing material Amount per deployable unit: as needed |
References
- Donald, H. M., Wood, C. W., Benowitz, K. M., Johnson, R. A., Drodie, E. D. Nondestructive sampling of insect DNA from defensive secretion. Molecular Ecology Resources. 12 (5), 856-860 (2012).
- Feinstein, J. DNA sequence from butterfly frass and exuviae. Conservation Genetics. 5 (1), 103-104 (2004).
- Hamm, C. A., Aggarwal, D., Landis, D. A. Evaluating the impact of non-lethal DNA sampling on two butterflies, Vanessa cardui and Satyrodes Eurydice. Journal of Insect Conservation. 14, 11-18 (2010).
- Holehouse, K. A., Hammond, R. L., Bourke, A. F. G. Non-lethal sampling of DNA from bumblebees for conservation genetics. Insectes Sociaux. 50 (3), 277-285 (2003).
- Lushai, G., et al. Application of molecular techniques to non-lethal tissue samples of endangered butterfly population (Parnassius apollo L.) in Norway for conservation management. Biological Conservation. 94 (1), 43-50 (2000).
- Monroe, E. M., Lynch, C., Soluk, D. A., Britten, H. B. Nonlethal tissue sampling techniques and microsatellite markers used for first report of genetic diversity in two populations of the endangered Somatochlora hineana (Odonata: Corduliidae). Annals of the Entomological Society of America. 103 (6), 1012-1017 (2010).
- Oi, C. A., López-Uribe, M. M., Cervini, M., Del Lama, M. A. Non-lethal method of DNA sampling in euglossine bees supported by mark-recapture experiments and microsatellite genotyping. Journal of Insect Conservation. 17 (5), 1071-1079 (2013).
- Scriven, J. J., Woodall, L. C., Goulson, D. Nondestructive DNA sampling from bumblebee feces. Molecular Ecology Resources. 13 (2), 225-229 (2013).
- Watts, P. C., Thompson, D. J., Daguet, C., Kemp, S. J. Exuviae as a reliable source of DNA for population-genetic analysis of odonates. Odonatologica. 34 (2), 183-187 (2005).
- Andrews, K., et al. All hands on deck: local ecological knowledge and expert volunteers contribute to the first delisting of a marine fish species under the Endangered Species Act. Citizen Science: Theory and Practice. 4 (1), 37 (2019).
- Buxton, A., Groombridge, J., Griffiths, G. Comparison of two citizen scientist methods for collecting pond water samples for environmental DNA studies. Citizen Science: Theory and Practice. 3 (2), 2 (2018).
- Granroth-Wilding, H., et al. Non-invasive genetic monitoring involving citizen science enables reconstruction of current pack dynamics in a re-establishing wolf population. BMC Ecology. 17 (1), 44 (2017).
- Qiagen, DNeasy Blood & Tissue Kit Quick Start Protocol. , Available from: https://www.qiagen.com/us/resources/download.aspx?id=63e22fd7-6eed-4bcb-8097-7ec77bcd4de6&lang=en (2016).
- Storer, C., Daniels, J., Xiao, L., Rossetti, K. Using noninvasive genetic sampling to survey rare butterfly populations. Insects. 10 (10), 311 (2019).
- Wagner, D. L., et al. Insect decline in the Anthropocene: Death by a thousand cuts. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America. 118 (2), 20239891 (2021).
- Montgomery, G. A., et al. Is the insect apocalypse upon us? How to find out. Biological Conservation. 241, 108327 (2020).